最先端科学

精密栄養学」が導く、

 未来の健康のカタチ。

「体に良さそう」から
「科学的に正しい」へ。

内閣府の大型プロジェクト「BRIDGE」を牽引する國澤先生、
そのビジョンに共鳴し参画を決めたコラゾン代表の大村、
そして事業の社会実装として商品開発を行ったブランディング部川村。
3名が語り合う、食と健康の新しい常識とは?

内閣府の大型プロジェクト「BRIDGE」を牽引する國澤先生、そのビジョンに共鳴し参画を決めたコラゾン代表の大村、そして事業の社会実装として商品開発を行ったブランディング部川村。
3名が語り合う、食と健康の新しい常識とは?

國澤 純

/ Jun KUNISAWA

米国UCバークレー校や東京大学医科学研究所での実績を経て現職。ワクチン開発や腸内環境システム研究の第一人者として、次世代医療の創出を牽引している。

大村 智則

/ Tomonori OMURA

株式会社コラゾン 代表取締役

味噌、醤油、日本酒造りの影の主役でもある「麹菌」とその潜在している力に魅せられて、麹専門店「MURO 神楽坂」を2017年にオープン。自社ブランドの麹甘酒「KOJI DRINK A」は従来の甘酒のイメージを刷新し、新宿区の
逸品にも選ばれ、多くのファンをもつ。

味噌、醤油、日本酒造りの影の主役でもある「麹菌」とその潜在している力に魅せられて、麹専門店「MURO 神楽坂」を2017年にオープン。自社ブランドの麹甘酒「KOJI DRINK A」は従来の甘酒のイメージを刷新し、新宿区の逸品にも選ばれ、多くのファンをもつ。

川村 悠華

/ Yuka KAWAMURA

株式会社コラゾン ブランディング部

京都大学大学院の発酵生理及び醸造学研究室を卒業し、飲料メーカーで商品開発を経験。現在、応用微生物学を軸に、地域振興・輸出商社を運営。株式会社コラゾンでは研究開発メンバーとして、麹の新たな可能性を見出す商品の開発に取り組んでいる。

「精密栄養学」研究の最前線

  最先端研究と実用化を架ける
「BRIDGE」の挑戦

川村

本日はお忙しい中ありがとうございます。まずは、今回の対談のきっかけとなった、研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム「BRIDGE」事業で重要な学問である「精密栄養学」について國澤先生から、初めて聞く方にもわかりやすくご説明をお願いできますか。

國澤先生

精密栄養学は英語で「Precision Nutrition(プレシジョン・ニュートリション)」と言い、新しい栄養学の形です。 「健康に良いといわれているものを食べて体調が良くなる人がいる」一方で、「しっかり食べているのに体感に繋がらない人」がいますよね。そこには必ず「個人差」を説明する理由があります。 それを科学的に明らかにして、「この人はこういう体質だからこれを食べてほしい」「この人にはこれは効かない」ということを解明するのが精密栄養学です。個々の状態に合った商品選びをサポートする取り組みに繋がります。 また、腸内細菌という視点では、食べるものによって腸内細菌が変わり、その腸内細菌の状態によって食べるものの効果も変わる。この両方のサイクルを考えることが非常に重要です。

個人ごとに適した食事を提案できる精密栄養学の実現
「Precision Nutritionの実践プラットフォームの構築と社会実装」

個人ごとに適した食事を提案できる精密栄養学の実現「Precision Nutritionの実践プラットフォームの構築と社会実装」

国立研究開発法人

医薬基盤・健康・栄養研究所

出典:

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所『「一人ひとりに適した食を提案・提供する「個別化・層別化栄養」の実現へ!
「Precision Nutritionの実践プラットフォームの構築と社会実装」が本格稼働(内閣府BRIDGE)』(2024年2月8日)

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所『「一人ひとりに適した食を提案・提供する「個別化・層別化栄養」の実現へ!「Precision Nutritionの実践プラットフォームの構築と社会実装」が本格稼働(内閣府BRIDGE)』(2024年2月8日)

川村

まさに私たちが目指す「納得感のある購買体験」そのものです。「なんとなく」ではなく、「自分のデータに基づいて選ぶ」時代が来るわけですね。では、大村さんが、この「BRIDGE」事業に参画しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか

大村

以前、展示会で先生のお話を聞いた時に「非常に魅力的だな」と思っていたんです。関西弁もすてきでした(笑)。

実際、お客様のニーズを見ていても、麹ドリンクを飲まれている方は何かしら体感として良くなっている印象がありますし、選手や管理栄養士など、より高いレベルで結果を求めている方々もいらっしゃいます。

そういう方々の声に応えるには、「なぜ今、このドリンクが良いのか」を科学的に理解した上で提案する責任があると感じていました。長

距離の選手もいれば、瞬発的な結果を出したい人もいる。その個々の差を解明できれば、より適した食品を開発し、提案できる。

そういう方々の声に応えるには、「なぜ今、このドリンクが良いのか」を科学的に理解した上で提案する責任があると感じていました。長距離の選手もいれば、瞬発的な結果を出したい人もいる。その個々の差を解明できれば、より適した食品を開発し、提案できる。

そこを深掘りしたいと思ったのがきっかけですね。

川村

素晴らしい探究心ですね。今回のプロジェクトでは「出口の担い手」として先生が以前から関係を構築されていた大手メーカーや大学が参画されていましたが、そのような中で、コラゾン社に期待されたことは何でしたか。

川村

素晴らしい探究心ですね。今回のプロジェクトでは「出口の担い手」として先生が以前から関係を構築されていた大手メーカーや大学が参画されていましたが、そのような中で、コラゾン社に期待されたことは何でしたか。

國澤先生

東京で講演をした後、名刺交換をさせていただいてからの大村さんの動きは本当に早かったんです。普通は名刺交換して終わりですが、大村さんはすぐに「やります!」とアプローチしてくれました。その決断の速さと、迅速な実行力が素晴らしいと感じました。
精密栄養学は論文を書いて終わりではなく、世の中に出て、皆さんが体感して初めてスタートが切れるものです。我々研究者だけではモノ作りはできません。
それともう一つ、精密栄養学はまだ答えが分からない中で「トライアンドエラー」を繰り返す必要があります。ゴールが決まっていないと動けない企業が多い中、大村さんは「やりながら考えましょう」と一緒に走ってくれました。
0から、あるいはマイナスになる可能性がある中でも進める力はズバ抜けていましたね。
最初に山のような甘酒の試飲サンプルを見た時は驚きましたよ。「これだけやるなら、何か新しいものができるな」という確信に変わりましたね。結局、美味しくなければ誰も飲み続けてくれません。川村さんが「大麦の喉越しをカバーするために、りんごの繊維を入れましょう」と提案された時は、「その手があったか!」と目から鱗でしたよ。

川村

ありがとうございます。今回は「何でも入れていい」わけではなく、國澤先生の腸内での酢酸産生に関する研究をもとにした製品設計ということで、原材料の選定に苦労しました。特にビタミンBにおいて、食材から補うことの難しさを痛感しました。

大村

その厳しい制限が、逆に自分たちの固定観念を壊してくれましたよね。当社として新しい方向性を見つける良い機会になりました。

「精密栄養学」が明かす

腸内フローラの真実

「みんなに良い」から
「あなたに良い」へ

川村

「精密栄養学」についてはお話しいただきましたが、先生が現在取り組まれている腸内細菌に関する研究について、より具体的に教えていただけますか。

川村

「精密栄養学」についてはお話しいただきましたが、先生が現在取り組まれている腸内細菌に関する研究について、より具体的に教えていただけますか。

國澤先生

実は、私の研究を支えてくれたカードの一つは「ビタミンB」なんですよ。10年ほど前、
ビタミンBを欠乏させた餌でマウスを飼育したところ、腸の抗体は作られているのに、リンパ組織が消失していることが分かりました。つまり、免疫の状態によってビタミンBの要求性が変わるということが明らかになったのです。

さらに、腸内細菌との関わりも見えてきました。食物繊維を摂って酪酸を作る「酪酸産生菌」は、
実は自分自身でビタミンBを作ることができません。人間が摂取するビタミンBを分け合う共生関係なんです。

さらに、酪酸産生のためには酪酸を作る菌が重要であることはもちろんですが、そこに至るプロセスはリレー形式になっています。つまり、酪酸を作る前段階として、酪酸の材料となる酢酸を作る菌や、

食物繊維を分解する菌の存在が欠かせません。第1ステップの「納豆菌」などの食物繊維を分解する菌、第2ステップのオリゴ糖を分解する「乳酸菌」や「ビフィズス菌」、そして最終ステップである「酢
酸から酪酸を産生する」酪酸産生菌にバトンが渡されます。最終ステップでビタミンBをしっかり
と摂取することが、効率的な酪酸産生のための鍵となります。

食物繊維を分解する菌の存在が欠かせません。第1ステップの「納豆菌」などの食物繊維を分解する菌、第2ステップのオリゴ糖を分解する「乳酸菌」や「ビフィズス菌」、そして最終ステップである「酢酸から酪酸を産生する」酪酸産生菌にバトンが渡されます。最終ステップでビタミンBをしっかりと摂取することが、効率的な酪酸産生のための鍵となります。

そしてもう一つ、日本人に比較的多く、腸内細菌で太りにくい体質にしてくれる「ブラウティア菌」を発見しています。これは、海外でやせ菌と話題の「アッカーマンシア菌」は日本人
の腸内にはほとんど見られず、日本人のBMIと関連するデータから偶然見つけた「セ
レンディピティ(幸運な偶然)」による成果でした。

川村

食物繊維やビタミンBなど、私たちの食事から得られる成分が、様々な腸内細菌に影響を与えているのですね。
よろしければ、麹についての印象をお伺いできますでしょうか?

國澤先生

腸内細菌は、それぞれの菌ごとに固有の特徴があることが分かってきています。日本の食文化を支えてきた微生物資源の代表格である麹にも、まだその真価が十分に気づかれていない「スーパー麹」が、日本各地に眠っているのではないかと感じています。麹は、食品の栄養価や消化性、風味を高めるだけでなく、腸内環境に影響し得る代謝物を生み出す可能性もあり、今後ますます注目される存在の一つだと思います。

腸内でおこる「菌のリレー」

川村

最後に、これから「精密栄養学」の研究が進むと、私たちの生活は将来どう変わっていくと予想されていますか。

國澤先生

究極は、例えばトイレの中で腸内細菌をチェックして、「今日はこの菌が少ないからこれを食べよう」とすぐに判断できるような未来を思い描いています。
BRIDGEプロジェクトでも、安く簡単に腸内細菌を調べる技術の開発を進め、一部は大阪・関西万博でも提供しました。ドラッグストアや居酒屋のタブレット、食券機などで自分の腸内細菌に合った定食やメニューが選べる。そんな「体調管理の大衆化」が、そう遠くない将来に実現できると考えています。

川村

体調管理の新しいカードとして、腸内細菌が当たり前に入るということですね。コラゾン社でも、取り組んでいこうとされていることはありますか。

    体調管理の新しいカードとして、腸内細菌    が当たり前に入るということですね。コラゾン社でも、取り組んでいこうとされていることはありますか。

大村

現在コラゾン社では、『精密栄養』の考え方を取り入れたAIレシピ生成システムを準備しています。
このサービスは、塩麹などの麹調味料を主役にしたもので、その日の体調や気分、さらには冷蔵庫にある食材といった『今の状況』に合わせて、AIが最適なレシピを提案します。
使いたい調味料と自分の状態を掛け合わせることで、一人ひとりのニーズに寄り添い、日々の食事から心身を整えていく。そんなパーソナライズされた食体験を、もっと身近に届けていきたいと考えています。